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震災復興支援

-早期に審査・審理が受けられます(特許庁)-

[早期審査・早期審理]

特許庁では,東日本大震災にあわれた企業等の特許・意匠・商標の出願等について,早期に審査・審理を行う「震災復興支援早期審査・早期審理」を実施しています。この制度を利用すれば,通常よりも早期に審査・審理の結果が得られるので,事業経営の効率化等に役立てることができます。

ご不明な点は,当事務所又は特許庁にご相談ください。
詳しくはコチラ(外部リンク:特許庁)

-3回まで法律相談無料です(日本司法支援センター)-

[震災無料法律相談]

日本司法支援センター(通称「法テラス」)では,震災発生当時,岩手県,宮城県,福島県等にお住まいだった個人を対象に,3回まで無料の法律相談を実施しております。この制度を利用すれば,当事務所において,3回まで無料で知的財産に関する法律相談を受けることができます(ただし,出願を予定したご相談や,専ら技術に関するご相談の場合には,同制度の利用を差し控えております。)。 ご不明な点は,当事務所又は日本司法支援センターにご相談ください。
詳しくはコチラ(外部リンク:日本司法支援センター)

統計

[特許出願件数の推移]

特許出願件数の推移

出典:特許行政年次報告書2007年~2013年版
「各県別の特許出願件数の推移です。東北地方からの特許出願件数は6県すべてを足しても,全国総出願件数の約0.6%に過ぎません。」

[実用新案登録出願件数の推移]

実用新案登録出願件数の推移

出典:特許行政年次報告書2007年~2013年版
「各県別の実用新案登録件数の推移です。出願件数自体は各県とも減少傾向にありますが,全国的な出願傾向と比較すると,東北地方は,特許出願よりも実用新案登録出願を選ぶ傾向が強いといえます。」

[意匠登録出願件数の推移]

意匠登録出願件数の推移

出典:特許行政年次報告書2007年~2013年版
「各県別の意匠登録出願件数の推移です。東北発の製品には優れたデザインの製品が多いと思います。今後の伸びに期待したいところです。」

[商標登録出願件数の推移]

商標登録出願件数の推移

出典:特許行政年次報告書2007年~2013年版
「各県別の商標登録出願件数の推移です。2012年は比較的出願件数の多い年でした。震災復興につながると良いですね。」

地域団体商標

地域団体商標制度とは,地域名と商品名からなる商標等について,商標登録を認める制度です。

地域名と商品名からなる商標は,通常,識別力がない等の理由で商標登録を受けられません。しかし,地域ブランドを適切に保護し,地域経済の活性化を支援するため,需用者の間で広く認識されている等の要件をみたす商標については,地域団体商標として商標登録を受けることができます。

東北地方でも様々な地域団体商標が登録されていますので,ご紹介いたします。(平成25年7月2日時点で登録査定を受けているもの)

いくつの商品をご存知でしょうか。

[青森]

登録商標
(よみがな)
指定商品・指定役務 権利者
たっこにんにく 青森県田子町産のにんにく 八戸農業協同組合
嶽きみ
(だけきみ)
青森県嶽地区で生産されたとうもろこし つがる弘前農業協同組合
大間まぐろ 青森県下北半島大間沖で漁獲されるまぐろ 大間漁業協同組合
大鰐温泉もやし
(おおわにおんせんもやし)
青森県南津軽郡大鰐町の大鰐温泉の温泉水を利用し,同町に由来する製法により,同町で生産されたもやし プロジェクトおおわに事業協同組合
野辺地葉つきこかぶ
(のへじはつきこかぶ)
青森県上北郡野辺地町およびその近隣地域にて生産され青森県のゆうき青森農業協同組合野辺地支所管内において管理された葉つきのこかぶ ゆうき青森農業協同組合

岩手

登録商標
(よみがな)
指定商品・指定役務 権利者
いわて牛 岩手県産の和牛肉(黒毛和種に限る) 全国農業協同組合連合会
いわて短角和牛 岩手県産の和牛肉(日本短角種に限る) 全国農業協同組合連合会
南部鉄器 岩手県盛岡市及び奥州市で生産された鉄製のなべ類・コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。)・鉄瓶・栓抜・なべ敷き・ワッフル焼き型(電気式のものを除く。)・ろうそく立て(貴金属製のものを除く。)・花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。)・風鈴・香炉 岩手県南部鉄器協同組合連合会
江刺りんご
(えさしりんご)
岩手県奥州市江刺区(旧・江刺市)産のりんご 岩手江刺農業協同組合
真崎わかめ
(まさきわかめ)
岩手県宮古市田老真崎海域及び近隣海域で収穫し,岩手県宮古市田老で加工した塩蔵わかめ 田老町漁業協同組合

[秋田]

登録商標
(よみがな)
指定商品・指定役務 権利者
秋田由利牛
(あきたゆりぎゅう)
秋田県由利本荘産の牛肉 秋田しんせい農業協同組合
比内地鶏
(ひないじどり)
秋田比内鶏(オス)とロード種(メス)を掛け合わせ,秋田県比内地方で生産した食用鶏肉

あきた北央農業協同組合
かづの農業協同組合
あきた北農業協同組合
鷹巣町農業協同組合

秋田やまもと農業協同組合 他
秋田諸越
(あきたもろこし)
小豆粉に砂糖を入れて練り固め,型打ちして乾燥させた秋田県で製造された干菓子 秋田県菓子工業組合
白神山うど
(しらかみやまうど)
秋田県能代市(二ツ井町)白神山地産の山うど あきた白神農業協同組合
川連漆器
(かわつらしっき)
秋田県湯沢市川連町・旧稲川町駒形地区及び三梨地区に由来する製法により秋田県湯沢市川連町・旧稲川町駒形地区及び三梨地区で漆塗りを施した杯 など 秋田県漆器工業協同組合
三梨牛
(みつなしぎゅう)
秋田県湯沢市三梨町産の牛肉 こまち農業協同組合
横手やきそば 秋田県横手市産のやきそばの麺,秋田県横手市産の調理済みやきそば 協同組合横手やきそば暖簾会
大館曲げわっぱ 秋田県大館市に由来する製法により秋田県大館市で曲げ加工を施した重箱,べんとう箱,茶筒,菓子器,盆,おひつ,酒器,花 大館曲げわっぱ協同組合

[宮城]

登録商標
(よみがな)
指定商品・指定役務 権利者
仙台味噌 仙台藩に由来する製法により仙台を中心とした宮城県の地域内で生産されたみそ 宮城県味噌醤油工業協同組合
仙台みそ 仙台藩に由来する製法により仙台を中心とした宮城県の地域内で生産されたみそ 宮城県味噌醤油工業協同組合
仙台牛 宮城県産の牛肉 全国農業協同組合連合会
仙台黒毛和牛 宮城県産の黒毛和種牛肉 全国農業協同組合連合会
仙台いちご 宮城県産のいちご 全国農業協同組合連合会

[山形]

登録商標
(よみがな)
指定商品・指定役務 権利者
平田赤ねぎ 山形県酒田市平田地区(旧平田町)産の赤ねぎ 庄内みどり農業協同組合
刈屋梨 山形県酒田市刈屋産の梨 庄内みどり農業協同組合
米沢織 山形県米沢市内産の織物(畳べり地を除く。) 米沢織物工業組合
米沢牛 米沢産の牛肉 山形おきたま農業協同組合
山形佛壇
(やまがたぶつだん)
山形県山形市及び天童市で生産された仏壇 山形県仏壇商工業協同組合
山形おきたま産デラウエア 山形県置賜地区産のデラウエア品種のぶどう 山形おきたま農業協同組合
置賜紬
(おいたまつむぎ)
山形県の米沢市・長井市・白鷹町産の紬織物 置賜紬伝統織物協同組合
米沢らーめん 米沢産の中華そばのめん 協同組合米沢伍麺会
山形名物玉こんにゃく 山形県内で製造・加工された玉こんにゃく 山形県こんにゃく協同組合

[福島]

登録商標
(よみがな)
指定商品・指定役務 権利者
土湯温泉
(つちゆおんせん)
福島県福島市土湯温泉町における温泉入浴施設を有する宿泊施設の提供 など 土湯温泉旅館事業協同組合
南郷トマト
(なんごうとまと)
福島県南会津郡下郷町・南会津町・只見町で生産され会津みなみ農業協同組合のトマト選果場において選別出荷されるトマト 会津みなみ農業協同組合
会津みそ 福島県会津地域産のみそ 会津味噌協同組合
大堀相馬焼
(おおぼりそうまやき)
福島県双葉郡浪江町大堀地域に由来する伝統的な技術・技法により福島県双葉郡浪江町及びその周辺地域で生産された陶磁器製の急須・皿・徳利・茶碗・鉢・湯呑・碗・壷・花瓶・ぐい呑・片口・コーヒーカップ・土瓶・湯さまし・茶こぼし・マグカップ 大堀相馬焼協同組合

東北には,たくさんの特産品があります。ブランド戦略の一環として,また,地域経済の一体化・活性化のため,地域団体商標の活用を検討されてはいかがでしょうか。

裁判例

東北地方における知的財産関連の裁判例をご紹介いたします。

[青森]

商標 審決取消

○商標登録取消決定取消請求事件(知財高裁平成24年8月27日判決)

・原告
X=金木町(現,五所川原市)における飲食店の経営者
・被告
Y=特定非営利法人
・事案の概要
Xは,指定役務を「食材に馬肉を用いたカレー料理を主とする飲食物の提供」として,「激馬かなぎカレー」(標準文字)の商標登録出願をし,登録査定を受けました。
これに対して,Yは,当該出願はYの新商品開発に便乗し,商標を剽窃(ひょうせつ:他人の成果物を自分のものとして発表すること)する目的でなされたもので公序良俗に反するとして,特許庁に対して登録異議の申立てをしました(商標法43条の2,同法4条1項7号)。特許庁は,Yの申立てを認め,取消決定がなされました。
本件は,この取消決定に不服のあるXが,知財高裁に対して取消決定の取消しを求めた事件です。
・1つの争点
Xは,本件商標を剽窃する目的で取得したといえるか。
・争点に対する裁判所の判断
裁判所は,地域住民及び商店のために活動するYが,伝統ある金木町全体の地域活性化のために行う事業の一環として,金木町特産の馬肉を使用したカレーを開発し,その名称「激馬かなぎカレー」を考案したこと,及び,Xが,Yが商標登録出願をしていないのに乗じ,本件商標登録出願に及んだものと評価せざるを得ないことを認定し,Xの請求を認めませんでした。
・結論
Xの請求は認められませんでした。
・用語の解説
「標準文字」とは
特許庁長官が指定する文字のみからなる商標で商標登録を受けようとする場合のその文字のことです。文字のフォントやサイズ,配置などにこだわりがない場合,願書に「標準文字」である旨を記載して出願することができます(商標法5条3項)。
「登録異議の申立て」とは
登録されるべきではない商標(商標法43条の2各号の一に該当する商標)が登録されてしまった場合,特許庁に対してその是正を求めるための制度です。

[岩手]

商標 審決取消

○審決取消請求事件(知財高裁平成20年5月29日)

・原告
X=商標を「岩手春みどり」(標準文字)とし,指定商品を「岩手県産キャベツ」とする商標権者
・被告
Y=全国農業協同組合連合会
・事案の概要
Yの会員である岩手町農業協同組合は,Xが商標登録出願をする前から,「いわて春みどり」なる商標(以下「引用商標」といいます。)を岩手県産のキャベツの包装に使用していました。
Yは,引用商標がYの業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く知られており,かつ,Xの登録商標に類似するものであること(商標法4条1項10号違反)を理由に無効審判請求をしたところ,特許庁は,Xの商標登録を無効とするとの審決をしました。
これに対して,Xは,審決の取消しを求めて,審決取消訴訟を提起しました。
・争点
(1)4条1項10号の「需要者の間に広く認識されている商標」にいう「需要者」の解釈
Xは,「需要者」とは,単に卸売会社,市場関係者のみならず,一般の消費者全体を含み,それらの間に広く認識されていたことを要する,と主張しました。そして,スーパー等でキャベツを購入する一般の消費者の間には,「いわて春みどり」なる商標は広く認識されていないから,同号違反には当たらないと主張しました。
(2)Xの商標とYの商標(引用商標)との類否判断
・争点に対する裁判所の判断
(1)について
裁判所は,「需要者」とは,最終消費者という意味での需要者に限定されるものではなく,取引者(卸売業者,仲卸業者,スーパー等の小売店を含む)又は需要者も含まれるというべきであると判示しました。そのうえで,引用商標は,岩手県内におけるキャベツの生産農家や取引業者のみならず,少なくとも東北地方から関東地方にかけてのこの種農産物の取引業者の間においても認識され,Xの出願の登録査定時まで継続していたと認定しました。
(2)について
称呼及び観念において共通し,また,外観においても「いわて」が「漢字」であるか「ひらがな」であるかの僅かな差異があるに過ぎず,両商標は類似すると認定しました。
・結論
Xの商標は,その登録査定時において,Yの業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた引用商標「いわて春みどり」と類似する商標であり,引用商標の係る商品「岩手県産キャベツ」と同一の商品について使用するものであると判示し,Xの商標は4条1項10号に該当するとして,Xの請求を棄却しました。
・用語の説明
「審決取消訴訟」とは
第三者の商標登録に不服がある場合,商標登録無効審判等で争うことができますが,この審判の審決に不服がある場合に,その取消しを求めて申し立てる訴訟のことです。知的財産高等裁判所に専属管轄があります。

[秋田]

特許 差止 損害賠償

〇特許権侵害行為差止等請求事件(秋田地裁昭和58年3月23日判決)

・原告
X=発明の名称「魚類はたはたのくん製方法」の特許権者(特許番号第790086号)
・被告
Y1=はたはたのくん製の製造業者。Y2に販売。
Y2=はたはたのくん製の販売業者。Y1から仕入れて,一般需要者に販売。
・事案の概要
Xが,Y1・Y2の各行為はXの特許権を侵害することを理由に,Y1・Y2に対して製造販売行為の差止と損害賠償請求を求めました。
・1つの争点
Y1の製造方法がXの特許権を侵害するかどうかです。この点,Xは,特許法104条に基づいて,本件特許発明と同一の方法によって生産されたものと推定されるから,Y1による製造方法はXの特許権を侵害すると主張しました。
・争点に対する裁判所の判断
裁判所は,特許法104条による生産方法の推定について,本件特許発明の目的物であるはたはたのくん製が本件特許出願前に日本国内において公然知られた物ではない(新規物)とは認めることができないとして,同条の適用を認めませんでした。
・結論
Y1の製造するはたはたのくん製が,本件特許発明によって生産された物であることを認めるに足りる証拠はないとして,Xの請求を認めませんでした。
・用語の説明
「生産方法の推定(特許法104条)」とは
物を生産する方法の発明について特許されている場合,特許権侵害を問うためには,被告の実施する生産方法が当該特許発明の技術的範囲に属することを主張立証しなければなりませんが,一般に,被告の実施する生産方法を特定することが困難であることから,原告の証明責任を軽減するために設けられた規定です。条文上,「その物が特許出願前に日本国内において公然知られた物でないとき」が要件となっており,本件ではこの点が争点となっています。
「公然知られた」とは
特許法104条は,被告の生産する物が特許出願前に日本国内で公然知られた物でないならば,当該物は特許発明と同一の方法で生産されたものと推定する規定です。本件では,裁判所は,「『公然知られた』(新規性)とは,食品(殊に魚類)の燻製技術の分野において通常の知識を有する者がその物を生産する手がかりを得られる程度に知られていたことを要するが,それは一般的にその物を生産し得る知識が知られていれば足り,製品として市場価値を有する程度に佳良な物を生産し得る知識まで知られていたことは要しないと解すべきである」と判示しました。

[宮城]

不正競争 差止 損害賠償

○不正競業行為差止等請求事件(仙台地裁平成19年10月2日判決)

・原告
X=民芸品,玩具類,ギフト用品等の販売を営む会社。
・被告
Y=民芸品の製造・販売等を営む会社。
・事案の概要
Xは,「福の神仙臺四郎」の登録商標を取得し,レリーフ額,のれん,キーホルダーや仙台四郎の置物等の商品に使用していました。テレビ番組の影響で仙台四郎ブームが起こり,Xの商品が話題になりました。これに対し,Yは,Xの商標登録出願後に,「福の神(福之神,福ノ神)仙台(仙臺)四郎」の標章を,Xの商品と同様の商品に使用していました。
そこで,Xは,Yに対し,不正競争防止法等に基づき,商品等の製造・販売の差止めや損害賠償を求めました。
・1つの争点
不正競争防止法2条1項1号及び2号の解釈。
・争点に対する裁判所の判断
裁判所は,同項1号及び2号が規定する不正競争行為に該当するためには,単に他人の周知又は著名な商品等表示を同一若しくは類似の表示を商品に付しているというだけでは足りず,それが商品の出所を表示し,自他商品を識別する機能を果たす態様で使用されていることを要するものというべきである,と判示しました。
そのうえで,本件被告商品に付された本件被告標章は,これを目にした需要者が,仙台四郎及び同人がもたらす商売繁盛等の御利益を想起させ,これによって購買意欲を惹起させるものであり,特定の製造者,販売者の商品であることを想起させるものとは認められない,と述べました。
・結論
Yによる標章の使用は,商品の出所を表示し,自他商品を識別する標章としての機能を果たさない態様で使用されており,同項1号及び2号が規定する不正競争行為に該当しないとして,Xの請求を棄却しました。
・用語の説明
「不正競争防止法2条1項1号」とは
他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一・類似の商品等表示を使用するなどして,他人の商品・営業と混同を生じさせる行為を「不正競争行為」として規定しています。Xは,Yの使用行為が,この規定に当たるとして,当該行為の差止め等を求めていました。
「不正競争防止法2条1項2号」とは
自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一・類似のものを使用すること等の行為を「不正競争行為」として規定しています。Xは,Yの使用行為が,この規定に当たるとして,当該行為の差止め等を求めていました。
・その他
本件では,商標法や著作権法に基づく請求もなされていましたが,いずれも棄却されました。

[山形]

商標 差止 損害賠償

○損害賠償等請求事件(山形地裁鶴岡支部平成19年5月25日判決)

・原告
X1=商標を「クロスビーズ」とし,指定商品を釣り具等とする商標権者。X2の代表取締役。
X2=通常使用権者。山形県鶴岡市に本店を置く,X1が設立した会社。
・被告
Y=釣り具等を販売する会社。
・事案の概要
X1とX2が,Yに対して,商標権侵害を理由に,販売行為等の差止請求や損害賠償請求を求めた事件です。
・争点
(1)商標権侵害の有無。
(2)(独占的)通常使用権の侵害に対して損害賠償請求が認められるか否か。
・争点に対する裁判所の判断
裁判所は,X1との関係では,Yの商標権侵害を認めつつも,Yは当該商標を現在使用しておらず今後も使用するおそれはないと判断しました。
X2との関係では,独占的通常使用権ではなく単なる通常使用権であるとしつつも,債権侵害についても民法709条の不法行為は成立すると判示しました。
・結論
X1,X2ともに損害賠償請求を認めましたが,差止請求は認められませんでした。
・用語の説明
「差止請求」とは
侵害行為(販売行為等)の停止や予防等を求めるものです。差止請求は将来の侵害を未然に防止する趣旨ですから,「侵害するおそれ」(商標法36条1項)がない場合,即ち,現在も今後も使用するおそれがない場合には差止請求は認められません。
「独占的通常使用権」とは
当該通常使用権者(本件ではX2)以外には登録商標の使用許諾をしない旨の特約のある通常使用権のことです。

[福島]

著作 差止

○仮処分申請事件(福島地裁平成3年4月9日決定)

・債権者
X=建築物の設計等を行う一級建築士
・債務者
Y1=建築主
Y2=建築事務所
・事案の概要
Xは,Y2の紹介により,Y1から,住宅建築の設計を依頼されました。Xは,設計図を作成し,建築確認申請手続も行いました。その後,Y1は,Xに対して,建築を取り止める旨の通知をし,設計料も支払いませんでした。ところが,Y1は,従来からの経緯を熟知しているY2に住宅建築を依頼し,設計図を作成してもらい,建物を建築中です(裁判当時)。
Xは,X作成の設計図は「図面の著作物」(著作権法10条1項6号)として保護されるべきであり,Y2作成の設計図がX作成の設計図の設計要部を模倣したものであり,Y2の建築は,同法2条1項15号ロにいう「建築に関する図面に従って建築物を完成すること」に該当し複製権侵害となる旨主張して,建築工事の差止めを求めました。
・争点
(1)建築設計図に従って建物を建築した場合,その建築行為は建築設計図の「複製」に該当するか
(2)X作成の設計図に表現されている観念的な建物が「建築の著作物」に該当するか
(3)両設計図の間に類似性が認められるか
・争点に対する裁判所の判断
(1)X作成の設計図が「図面の著作物」に該当するとしつつも,「図面の著作物」の複製は同法2条1項15号本文の有形的な再製に限られるので,建築設計図に従って建物を建築した場合でも,その建築行為は建築設計図の「複製」とはならないと判示しました。
そのうえで,設計図に従って建物を建築することが「複製」となるのは,(「図面の著作物」ではなく,)「建築の著作物」(同法10条1項5号)であるとして,「建築の著作物」該当性を判断しました(下記(2)参照)。
(2)いわゆる建築芸術と見られるものでなければ「建築の著作物」とはいえず,「建築芸術」と言えるか否かを判断するにあたっては,使い勝手のよさ等の実用性,機能性などではなく,もっぱら,その文化的精神性の表現としての建物の外観を中心に検討すべきとしたうえで,本件建物は未だ一般住宅の域を出ず,建築芸術に高められているものとは評価できないと判示しました。
(3)外観,内部の間取り等において相違点が見られるので,類似性も認められないと判示しました。
・結論
Xの請求には理由がない(著作権侵害が成立しない)とされ,仮処分申請は却下されました。
・用語の説明
「建築の著作物」(同法10条1項5号)とは
建築物それ自体を意味し,建築設計図は含まれません。建築設計図は「図面(図形)の著作物」として6号で保護されます。他人が作成した設計図に基づいて建築物を完成させると「建築の著作物」の複製となります(この裁判例でも触れられているように,「図面の著作物」の複製にはなりません。)。

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